センター通信
産業保健相談員レター2022年7月~健康経営につなげる一般定期健康診断~
2022.07.01
産業保健相談員 岡本和子
初夏~秋にかけて一般定期健康診断が行われている職場が多いと思います。
しかし、健康診断が事務的に行われ、健康経営につながる健診事後措置が行われていない職場も散見されもったいないと感じることがあります。
人間に不老不死はありえません。「症状がなく健康だと自覚していても病気が始まっていることがある。」ということを、一般論として否定する人はいないと思います。
ですが、「自分は大丈夫。」と健康管理に無頓着でいて、いざ病気を発症した時に「まさか。」と動揺してしまう方や職場は珍しくありません。
病気になると多少なりともプレゼンティーズム(出勤しているけれどパフォーマンスが低下することによる労働力損失)、アブセンティーズム(欠勤することによる労働力損失)
を生じます。しかし、初期に病気を見つけて治療し、治癒またはコントロールすることで最小限の労働力損失に抑えることができると、社員本人の幸せな人生と健康経営につながります。
健康診断は、ふだん受診する機会のない無症状の人にとっては貴重な健康チェックの機会であり、事業主にとっては健康経営につなげる貴重な機会であると考えて、
丁寧に健診事後措置を行っていただきたいと思います。
そのために必要な具体的なポイントは以下のように考えます。
(1)全員が必要な健康診断(雇用時健診・一般定期健康診断・特殊健診・特定業務者健診等)を必要な時期に受けること。そのためには誰にどの健康診断がい
つ必要であるのか、会社担当者が業務内容を把握して健診計画をたてること。
(2)会社担当者が健診結果を確認し、異常所見がある場合は医師に就業判定を依頼し、保健指導や受診確認、就業措置などの健診事後措置を行うこと。
(3)各健診結果を法令で決められた期間は職場で保管すること。本人に転勤があれば健診結果も保管場所を移動してください。
(4)職場の「健康情報取扱規程」を作成し、それに基づいて情報を取り扱うこと。
最後に、人間ドックを一般定期健康診断の代替としている職場も多いと思いますが、
法定項目の「1 既往歴及び業務歴の調査 」「2 自覚症状及び他覚症状の有無の検査」の記載が健診個人票にない健診機関もあります。
いま一度、健診個人票に一般定期健康診断としての法定項目が全て記載されているかどうかご確認をお勧めします。