センター通信
産業保健相談員レター 2022年10月 ~「パワーハラスメント防止対策」企業は何から始める?~
2022.10.01
産業保健相談員 尾原 寿子
令和4年4月、労働施策総合推進法の改正に基づく「パワーハラスメント防止措置」が中小企業にも義務化されました。私は産業保健相談員として中小企業を訪問していますがパワハラ問題に対してどう対応していいのかわからない、またある大企業では社内のコンプライアンス相談の中にはパワハラ相談が多い等今や企業規模に関わらず急務の課題と言えます。では何から取り組んでいけばいいのでしょうか。
「パワハラの定義」及び「代表的な言動の類型」「防止するために講ずべき措置」について概略を説明します(厚労省HP抜粋)。
1.職場における「パワーハラスメント」の定義
職場で行われる以下(1)~(3)の要素全てを満たす行為を言います。
(1)優越的な関係を背景とした言動
(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
(3)労働者の就業環境が害されるもの
2.職場におけるパワーハラスメントの代表的な言動の類型
(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)
(2)精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱等)
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや 遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
(5)過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じること や仕事を与えないこと)
(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
これらは言動の目的・行われた経緯や状況等、様々な要素を総合的に考慮することが必要です。
3.防止するために講ずべき措置について
事業主が必ず講じなければならない具体的な措置の内容は以下のとおりです。
(1)事業主の方針等の明確化および周知・啓発
(2)相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備(相談窓口設置等)
(3)職場におけるパワハラに関する事後の 迅速かつ適切な対応
(4)併せて講ずべき措置
職場においてパワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し労働者に周知・啓発する、また相談窓口を明確化することから始めてみましょう。 以上