独立行政法人 労働者健康安全機構広島産業保健
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センター通信

産業保健相談員レター 2023年7月 ~情報機器ガイドラインについて~

2023.07.03

産業保健相談員(労働衛生工学担当) 中村 好則

 先日、情報機器作業のグレア対策の依頼があり、その時に調べた「情報機器ガイドライン」について紹介したいと思います。
 情報機器作業において、事業者が作業者の精神的疲労、身体的疲労等を軽減するために作業環境管理、作業管理、作業者の健康管理等を適正に行うために、平成14年「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」が公表され、令和元年には情報機器と作業形態の変化により「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(情報機器ガイドライン)が新たに公表された。使用される情報機器の種類や活用状況の多様化をふまえ、作業区分を新たに見直すなどが行われた。
 
主な項目は、
 「1はじめに」で「事業者が作業環境管理、作業管理、作業者の健康管理等を適正に行い、作業者を支援していくことが重要である」と基本的な考え方を示している。
 「2対象となる作業」では、作業の区分を「作業時間又は作業内容に相当程度拘束性があると考えられるもの」とそれ以外の2つに大別し、作業形態に応じた一律の管理ではなく、状況に応じた対策の検討を求めている。
 「3対策の検討及び進め方に当たっての留意事項」では、対策検討の原則は、(1)情報機器作業の健康影響が作業時間と拘束性に強く依存することから、「5作業管理」の対策を優先的に行うこと、(2)対策は、労働者の個々の作業内容、使用する情報機器、作業場所等に応じて対策を進めることとしている。
 「4作業環境管理」では、照明及び採光について(1)明暗の対照が著しくない室内照明とすること、(2)ディスプレイと書類を交互に見る作業では、明るさが著しく異ならないよう机上の照度300ルクス以上を目安とすること、(3)太陽光が差し込むときは、窓にブラインドをすることなどの対策が示されている。
 「5作業管理」では、相当程度拘束性があると考えられる作業について「1時間を超えないようにし、次の連続作業時間までの間に10分~15分の作業休止時間を設け、一連続作業時間内において1回~2回程度の小休止を設けること」、デスクトップ型パソコンの作業姿勢の原則は「ディスプレイの上端が眼の位置より下になるようにし、
視距離は40cm以上確保、上腕と前腕の角度は90度以上で、キーボードに自然に手が届くようにすること」が示され、作業者の負担軽減のための適切な設定を徹底することなどの周知が求められている。
 「7健康管理」では、情報機器作業者となった者に、配置前健康診断を実施し、「作業時間又は作業内容に相当程度拘束性があると考えられるもの」及びそれ以外でも「自覚症状を訴える者」については、全員に年1度の定期健康診断を実施することとしている。
 
 上記はガイドラインの一部を紹介したもので、詳しくは厚生労働省のHPで。