センター通信
産業保健相談員レター 2024年3月 ~フェムテラシーの考え方について (情報提供)~
2024.03.12
産業保健相談員(産業医学担当) 吉岡 嘉暁
<はじめに>
Femtech(フェムテック)とは、最近聞かれるようになった造語(合成語)でFemale(女性)+Technology(技術)のことです。女性のライフステージにおける「生理・月経」「妊娠期・産後」「プレ更年期・更年期」等の様々な課題を解決できる製品やサービスをFemtechと呼んでいます。
<フェムテラシーとは>
フェムテックにさらにリテラシー(知識を活用する能力)を組合わせた「フェムテラシー」を向上させることで、女性が自分自身のホルモンマネジメントを行い、心身の不調によって昇進を諦めたり退職を余儀なくされることがないよう、健康の悩みをオープンに共有し助け合える職場環境を整えたいとしています。
女性の健康というと、特に男性は「男がわかるわけがない」と思いがちです。時には女性同士でも、個人差の大きい月経痛(生理痛)のつらさやメンタルヘルス不調は理解してもらえないことがあります。しかし、だからこそ女性の健康について学ぶこと、知ることがフェムテラシー推進の第一歩になります。
<フェムテック検定について>
日本フェムテック協会のホームページに「日本フェムテック協会認定資格」の紹介が有ります。フェムテック協会では、女性の「こころ」と「からだ」を理解するための基礎知識をフェムテラシーと呼んでいます。女性のみならず誰もがフェムテラシーを高めることでより良い社会が生まれると信じています。医学的見地に基づいた検定を通して、フェムテラシーの高い社会づくりに貢献したいと考えています。
フェムテック検定には3級、2級、1級がありますが、3級はフェムテック協会のホームページのWEB上で受験可能(無料)です。テストを通じて、自分自身の現在のフェムテラシー理解度を把握することが出来ます。受験後には解答と解説を読むことが出来ます。産業保健スタッフの方、管理監督者の皆さま、経営層の皆さまには、まず3級で自分の理解度を試されてみてはどうでしょうか。(私も試してみました。)
ホームページには2級、1級へのステップアップ(有料)も紹介してあります。
私は2級を受講(終了)してみましたが、産業保健関係者の皆様に勧めたくなるほど大変勉強になりました。(実感)
<健康経営とフェムテラシー>
これまでの合理化や効率化を求めるだけのやり方は、ワークライフバランスを重視しダイバーシティを尊重する現代には通用しなくなってきています。健康経営とフェムテラシーは同じ方向を向いた協働ベクトルであり、フェムテラシーを欠いた健康経営は有り得ない時代になってきたと思います。