センター通信
産業保健相談員レター 2024年12月 ~「 カスタマー・ハラスメント防止対策」~
2024.12.06
産業保健相談員(労働衛生関係法令担当)井上 一弘
1 はじめに
令和6年10月4日、「東京都カスタマー・ハラスメント(以下「カスハラ」と呼ぶ。)防止条例」が全国で初めて可決・成立し、
令和7年4月1日から施行されます。
この条例では、カスハラを一律禁止することを掲げているほか、カスハラ防止に関する基本理念、各主体(都・顧客等・就業者・事業者)の責務、カスハラ防止指針の作成・公表などを定めています。罰則規定はありませんがカスハラが違法である旨明記しています。
2 国の対応
国は令和元年6月、労働施策総合推進法改正を受け、令和2年1月に「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針(以下「カスハラ指針」という。)」を策定し、カスハラに関して事業主が講ずべき措置と被害を防止するための取組の実施が望ましい旨定めました。また、ハラスメント対策総合情報サイト「明るい職場応援団」において「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を示しております。
3 カスハラとは
カスハラ指針によると「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求内容の妥当性に照らし、 当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」とされています。このうち、
★クレーム・言動の要求の内容の妥当性を欠く場合の例として
・企業の提供する商品・サービスに瑕疵・過失が認められない場合
・要求内容が企業の提供する商品・サービスの内容と関係ない場合
が示されています。また、
★要求内容の妥当性に関わらず不適当とされる可能性が高い例として
①身体的攻撃②精神的攻撃③威圧的な言動④土下座の要求⑤継続的な・執拗な言動⑥拘束的な言動⑦差別的な言動⑧性的な言動⑨従業員個人への攻撃、要求が示されています。また、
★要求内容の妥当性に照らして不適当とされる場合の例として
①商品交換の要求②金銭補償の要求③謝罪の要求(土下座を除く)が示されています。
4 企業の対応
企業におかれては、カスハラ被害から労働者を守るためにも、カスハラに関して事業主が講ずべき措置と被害を防止するための取組の実施をお願いします。また、取組に際しては、上記の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を是非とも活用していただきますようお願いいたします。