独立行政法人 労働者健康安全機構広島産業保健
総合支援センター


センター通信

産業保健相談員レター 2025年2月 ~「レジオネラ症に思う」~

2025.02.03

 労働衛生工学専門員 大西修三

 レジオネラ症の発生が年々増加しています。レジオネラ属菌による細菌感染症ですが、主には重症の肺炎を引き起こす「レジオネラ肺炎」で、1976年に米国のフィラデルフィアで開催された在郷軍人大会で、参加者の肺炎集団発生が起きて発見されたことから、在郷軍人病とも呼ばれています。近年では、毎年2000人強の感染者が報告され、数人の死亡者も発生しています。増加の原因としては次のことが言われています。  ①1999年から感染の報告が義務付けられた。 ②診断薬が開発された。③医師の関心が強まった。④地球温暖化の進行により水温が上昇し、増殖環境が拡大している。⑤高齢化社会が進展し感染者が拡大している等です。
 感染源のレジオネラ属菌は、水中に生存し、水温が36℃前後で最も増殖しやすいと言われています。河川や噴水でも存在し、増殖しやすい温度で水を取り扱う施設では、増殖している可能性があります。特に壁等に発生する「ぬめり」の中で増殖します。また、温泉施設でも多く発生しています。さらに、加湿器(加熱しない型式)や洗車機、冷却設備などでも発生しています。これらの施設・器具から空気中に水滴が飛散し、この飛沫の吸入により感染発病します。                                                                       このため、定期的な施設の洗浄とレジオネラ属菌の検査が必要で、ビル管理法では、空気調和設備を設けている場合は、病原体によって居室の内部の空気が汚染されることを防止するための措置を講ずることとして、感染因子の点数によって、検査回数が設定され、菌検査が求められています。公衆浴場やホテル・旅館等の営業施設に対し、都道府県が条例にレジオネラ症発生防止対策を追加する際の指針を示し、県条例で規制されています。浴場施設に関しては、毎日換水型は年1回、循環型は年2回とされています。また、遊泳用プールの衛生基準では、併設のジャグジーでの菌の検査を行うこととされています。詳細は法令等で確認してください。
 このように間隔の空いた検査回数ですから、重症化リスクの高い身としては、自己防衛も必要かと考えています。レジオネラ属菌がいないではではなく、存在しているかもしれないという観点にたって、温泉はかけ流しを基本とし、循環式の場合はジャグジーには入らない、噴水や冷却水塔には近づかない、あるいは、風上を通行するなどしています。皆様の事業場におかれましても、該当設備がある場合には、定期的な清掃と菌検査を実施するようにしてください。